窒息とは | 窒息についての最新のデータを基に原因と事例を紹介

この記事は下記のような方におススメです。

  • 窒息が起こったニュースを観て、何か対策ができないものか考えたことがある。
  • 窒息リスクの高い子どもや高齢者と関わる機会が多い。

はじめに

昨今、保育所や学校で子どもが窒息したニュースを目にする機会があります。子どもたちの安全を守る立場である方々は、予想外の出来事に驚いたり、予防策や窒息時の対応に苦慮されたりと、非常に難しい問題に向き合われていることと思います。
窒息時の対応を学ぶ前に、窒息自体がどんなものか、原因は何なのか、基本的なことを知る必要があります。家庭で起こった窒息事故が個別で報道されるケースがほとんどないように、私たちが見聞きする事例は氷山の一角です。今回はデータを示しながら、国内の窒息事故について解説していきたいと思います。

1. 窒息とは

日本気管食道科学会によると、窒息は、呼吸が阻害されることによって血中酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇して、脳などの内臓組織に機能障害を起こした状態1)といわれています。文字通り、異物によって息がつまる状態です。
窒息が起こると、声が出ないばかりか、空気の出入りがなくなります。酸素が取り込まれなくなり、二酸化炭素も排出されません。脳の酸素不足で意識を失うことはイメージできると思いますが、低酸素によって脈が遅くなり、二酸化炭素によって血液が酸性になり、いずれ心肺停止に陥ります。呼吸先行型の心肺停止は予後不良です。早期に窒息を解除することは何より重要であるといえます。

⇒窒息についての考え方や気道異物への対応についてはこちら

2. 窒息が起こる件数って、そんなに多いの?

図1に、国内における不慮の事故による原因別の死亡者数をまとめています(最新データ2021年から過去5年分と2000年)。2021年は、38,355名の方々が不慮の事故で亡くなっています。“事故”と聞いて、皆さんが真っ先に思い浮かべるのは交通事故ではないでしょうか。誰もが一度は事故現場を目撃したことがある身近なものですよね。しかし、交通事故での死亡数はここ20年間で徐々に減っており、1年あたり3,000人~4,000人ほどです。
一方、窒息が原因で死亡した人数は、第1位の「転倒・転落・墜落」に次いで2番目に多い約8,000名となっています。皆さんが身近に感じている交通事故と比較して、2倍以上の死亡者が出ているのです2)。単純計算で、窒息が原因で亡くなっている人は1日約22名いることになります。ただ、これらはあくまでも窒息を起こして死亡した人数です。その裏には、自然に異物が出てきたり、迅速な対応で救命できたりと、死亡には至らなかった窒息の件数がいくつも隠れていると考えられます。小さなものから大きなものまで、窒息事故がどれほど起こっているのか想像するのは難しいですが、データで見てもやはり窒息は身近な存在だといえます。

国内における不慮の事故による原因別死亡者数
【図1】国内における不慮の事故による原因別死亡者数(文献2をもとに作成)

3. 窒息の原因となるものとは

いったい気管に何が詰まることで命を落としてしまうのでしょうか。先ほど用いたデータによると、2021年に窒息で亡くなった7,989名のうち、53%(4,239名)は食べ物が原因で窒息が生じていました。

窒息の原因
【図2】窒息の原因(文献2をもとに作成)

数字だけでは、どのような人がどのような状況で窒息したのか明確にはわかりません。しかし、人が生きていく上で欠かせない食事によって窒息が起こるのであれば、リスクはいつも私たちのすぐそばに潜んでいるといっても過言ではありません。

4. 身近な窒息事例

実際に、食べ物が原因で窒息した事例を2例ご紹介します。いずれも子どもが窒息を起こしたケースです。

保育所で起こった窒息事例
2023年5月、愛媛県新居浜市の保育園において、生後8ヶ月の男児が給食中に窒息を起こし、意識不明の重体となりました。ミリ単位で小さく切ったリンゴのかけらを2つスプーンに乗せて口に含ませたところ、息をしなくなったということです。保育士が窒息を疑い、119番通報と男児を逆さにして背中を叩いたそうですが、心肺停止状態に陥っていたと報道されています3)。
この事例は、自分で食事を摂取できない幼い子どもに窒息が起こってしまったケースでした。一方、リスクが低い小学校高学年の子どもに窒息が起こったケースも存在します。
小学校で起こった窒息事例
2021年7月、新潟県佐渡市の市立小学校で、5年生の男児が給食中にパンで窒息を起こし、数日後に死亡する事故が発生しました。児童はそれぞれの机で前を向いて食べており、どのようにして窒息したのか、目撃者はいなかったようです。窒息に気づいた教職員が窒息を解除しようと試みましたが、男児は途中で意識を失ってしまいました。救急車が到着するまで、養護教諭が心肺蘇生を試みましたが、意識は戻らないままでした。児童には食事摂取に影響するような既往歴はなく、他の児童と変わりなく給食を食べていたようです。佐渡市では米粉パンを提供し始めて10年以上経ちますが、一度も事故の記録はないそうです4)。
男児もパンを日常的に口にしていたと考えられますし、自立して食事摂取のできる元気な子どもに窒息が起こったことに多くの方が驚いた事例でした。

5. 窒息に遭遇した時の対応

 皆さんの目の前で窒息が起こったら、どう動きますか。119番通報で助けを呼んだとしても、到着までには時間がかかります。窒息が解除できなければ、いずれ心肺停止になってしまいます。そうならないためには、あなたが窒息を解除しなければなりません。窒息が起こって間もないうちは、意識があるのでハイムリッヒ法を実施しましょう。突然の出来事なので、助けたい一心で、とっさに口の中に指を突っ込んで引っ張り出したくなるかもしれません。しかし、誤った方法では助かるチャンスを活かせないまま時間だけが過ぎてしまいます。

⇒ハイムリッヒ法に関する詳しい解説はこちらへ

まとめ

食べ物が原因で窒息が生じ、多くの人が命を落としているということをご理解いただけたでしょうか。リスクの差はありますが、子どもと高齢者に限らず、すべての人に窒息は起こりうるといっても過言ではありません。交通事故を防ぐように窒息も予防策を講じる必要がありますが、いくら交通安全を心掛けても事故が起こるように、窒息もゼロにはできません。予防と窒息を解除する手技の両面で窒息に備える必要があるといえます。

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参考文献
1) 日本気管食道科学会,気道食道科に関連する疾患・症状 窒息,https://www.kishoku.gr.jp/disease/choking/,(2023年6月10日参照)
2) e-Stat 政府統計の総合窓口,不慮の事故による死因,https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411674(2023年6月10日参照)
3) 朝日新聞デジタル,保育園で8カ月男児が給食中、意識不明 離乳食の魚ペーストとリンゴ,https://www.asahi.com/articles/ASR5N4DC2R5NPTIL00B.html,(2023年6月11日参照)
4) 朝日新聞デジタル,給食のパン詰まらせ重体の小5、亡くなる 新潟・佐渡,https://www.asahi.com/articles/ASP7C73HLP7CUOHB003.html,(2023年6月11日参照)
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