AHAガイドライン2020 BLSの主要な変更点

ガイドライン主要な変更点

2020年10月21日にAHAのガイドラインが変更されました。日本語版のガイドライン2020(G-2020)のハイライトも公開されましたが、今回のガイドラインで変更された部分をいくつかピックアップしました。

  1. 救命の連鎖
  2. 胸骨圧迫の際の衣服の取り扱い
  3. 成人および小児・乳児の人工呼吸
  4. 乳児1人法のCPR胸骨圧迫の手技
  5. オピオイドの取り扱い

それぞれについて、簡単に説明を加えますね。

G-2020に準じたBLSアルゴリズムに関しては、下記のページを参考にしてください。

【関連記事】BLS(一次救命処置)とは | BLSの手順とAHA(アメリカ心臓協会)公認のBLSコースについて解説

救命の連鎖

今回のガイドライン2020では、「救命の連鎖」の分類は、従来の5項目に加えてさらに6番目の鎖に「回復」の鎖が追加されました。(図1)

成人の救命の連鎖

AHAガイドライン2020

小児・乳児の救命の連鎖

小児・乳児の救命の連鎖(呼吸停止先行型心肺停止)

※「American Heart Association : Basic Life Support: 6, 2021」より引用
AHAガイドライン2020には、「心停止から回復した患者は社会的に復帰するまで身体、認識、精神的なサポートが必要である。これらは入院中に開始し、必要とされる期間中継続するべきである。」という記載がされています。このことからもわかる通り、社会復帰まで含めた考え方が示されたものと思われます。

胸骨圧迫の際の衣服の取り扱い

以前のガイドライン2015までは、胸骨圧迫を行う前に衣服を脱がすように記載されていましたが、今回のガイドライン2020では、衣服を脱がすのが困難な場合は、衣服の上から胸骨圧迫を行ってもよい、という記載に変更されています。ただし、AEDのパッドは皮膚に直接貼る必要があり、衣服の上からAEDパッドを貼ってはいけません。

成人および小児・乳児の人工呼吸

成人の呼吸停止に対する補助呼吸の回数と、小児・乳児の呼吸停止に対する補助呼吸および高度な気道確保がなされている心肺停止時の人工呼吸の回数が変更となりました。以下に変更点をまとめました。

    • 成人の呼吸停止に対する補助呼吸

G-2020:6秒に1回(1分間に10回)
G-2015:5~6秒に1回

    • 小児・乳児の呼吸停止に対する補助呼吸、及び高度な気道確保がなされている心肺停止時の人工呼吸

G-2020:2~3秒に1回(1分間に20-30回)
G-2015:3~5秒に1回

呼吸停止、心肺停止に対する対応を表1にまとめましたので参考にしてください。なお、今回のガイドライン2020での変更点は、赤字にしております。

【表1】

病態呼吸停止心肺停止
対応方法補助呼吸心肺蘇生(CPR)
成人バックマスク換気

頭部後屈あご先挙上

6秒に1回30:2、同期CPR
高度な気道確保

(気管挿管)

6秒に1回非同期CPR

人工呼吸は6秒に1回

小児・乳児バックマスク換気

頭部後屈あご先挙上

2~3秒に1回1人法:30:2、同期CPR

2人法:15:2、同期CPR

高度な気道確保

(気管挿管)

2~3秒に1非同期CPR

人工呼吸は2~3秒に1回

乳児1人法のCPR胸骨圧迫の手技

乳児1人法のCPRの胸骨圧迫について、従来のガイドライン2015ではいわゆる二本指法を行うとされておりましたが、今回のガイドラインでは、2本の指もしくは2本の親指で胸郭の1/3の深さの圧迫が困難な場合は片手の手根を使用してもよい、と変更されました。

オピオイドの取り扱い

日本の救急現場では馴染みのうすいオピオイドですが、今回のガイドラインでは、オピオイド中毒が疑われる場合は、脈の有無・呼吸の有無にかかわらずナロキソン投与が推奨されています。

まとめ

以上、BLSにおける主要な変更点でした。参考にしてみてくださいね。一番重要な変更点としては、やはり呼吸の部分になりますので、しっかりと確認していただけたらと思います。
なお、ガイドラインの原本はPDFファイル(英語)で無料で閲覧可能となっておりますので、詳細を知りたい方は是非ご覧ください。
以下の記事より、ガイドラインの閲覧が可能なリンクが参照できます。

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AHAガイドラインの表紙

また、ACLS領域におけるガイドラインの変更点は以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてみてください。

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